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2022年の振り返り

目次#

院試編 (1-8月)#

3回生最後の期末試験を終え、大学院の進学先を検討し始めました。数学科に近い学部にいたのですが、昨今話題のAI技術に興味があり情報系に行こうと考えていました。この時点で行ってもいいなと思っていたのはNAIST、京都大学、東京大学、CSが強い海外大学院でした。もちろん試験範囲を考慮して選ぶ必要があるのですが、考え始めるのが遅くて英語の対策に時間をかけられず、TOEFLの受験が求められる後者2つはやめました (悲しい)。

3月頃、NAISTはどうやら田舎すぎるという情報を得たので、京都大学の院試を受けることにしました。ここは情報学研究科の中に、知能情報学、社会情報学、先端数理、通信情報、.. etc などの専攻があり、AIをやりたい場合には知能情報学専攻がぴったりでした。この辺りは研究科のHPを見ると大体の雰囲気がわかりますし、説明会の情報なども掲載されていたりするので頻繁にチェックしておくことをお勧めします。

私が受験した知能情報学専攻の話をします。ここはAIブームも相まって、他専攻に比べて受験者が多く競争が激化しています。倍率にすると3倍以上で年々上昇傾向にあるようです。更に注意しておかないといけないことがあり、認知システムの鹿島研や知能メディア系の研究室(黒橋研・河原研・西野研)は専攻内でも人気が非常に高く、ボーダー以上に高い点数を求められます。この辺りを第一志望で考えている人は頑張りましょう。

試験についてです。知能情報学専攻の試験は午前基礎で100点分、午後専門で100点分、英語スコアで50点の計250点で評価されます (今後変更されるかもしれません)。基礎科目は線形代数学・解析学・データ構造とアルゴリズムの3科目あり全て必答です。専門科目は統計学や信号処理、パターン認識、情報理論など複数科目から2個選択します。英語スコアは事前に提出するもので、TOEICやTOEFLなどの外部試験をCEFRレベルに分け、それを更に50点に換算するようです。評価関数は不明です。

基礎科目はもちろん全て勉強する必要があります。専門は3科目以上を勉強しておいて当日相性の良い2科目を選ぶのが無難でしょう。統計学・情報理論・信号処理の3科目を勉強する人が多い印象です。パターン認識も候補に入れて良いかもしれません。私個人の話をすると、信号処理に興味を持てなかったので統計学・情報理論の2科目のみ集中的に勉強する方針をとりました。幸い当日の試験では情報理論は完答できました。統計学で少し取りこぼしました。

対策についてです。英語は苦手だったのでそれなりに勉強した記憶があります(詳細はTOEIC編)。ただ筆記試験については、競技プログラミングを2年ほどやっていたことや、学部で数学を重点的に学んだこともあって基礎科目の知識はそれなりにあり、専門の統計学についても大枠は理解していたので復習がメインでした。なのであまり勉強をした記憶はないです。

当日に関してです。2日構成で1日目は筆記試験、2日目はボーダー付近の10人程度のみ口頭諮問があり、篩にかけられるようです。今年は12人が対象者に選ばれて4人が受かっていました。私は幸い対象者ではなかったのですが、口頭試問の末に合格した友達に事情を聞いたところ、物凄い雰囲気で緊張したとのことでした。設定は、大学院でやりたい研究や自分の特徴を数分間、1人で喋るようです。目の前に教授陣がいます。

1日目の午前基礎についてはグラフ理論や理論的な線形代数の問題が出たのもあって傾向が少し変わっていました。当日面食らわないためにも過去問への過学習には気をつけましょう。同じ問題は出るわけないので、雰囲気だけ掴む程度で良いのかなと思います。午後試験は例年通りという印象でした。

院試が終わってすぐ家族と北海道旅行に行きました。なので合否発表は地球岬という観光スポットで確認しました。口頭諮問に呼ばれていない時点で、中間状態による不安はなく、内心受かっているだろうなと思っていましたが受験番号を確認して改めてホッとしました。こういう経緯もあったので親の方がびっくりして喜んでいたのを覚えています。

(追記) 知能情報学専攻の受験に関して便利なページです。適宜参考にしてください。

  • 過去問 .. 少々見つけ難いですが、研究科HP上に現状5年分あります。
  • AcademaidさんのBlog .. 知能情報学専攻の情報についてより詳しく書かれています。

TOEIC編 (2-5月)#

院試の英語スコアに必要だったので2月, 3月, 5月の計3回受けました。4月受けなかったのは戦略ではなく、単なる申し込み忘れです。TOEICの申込〆切は意外と早いので注意しましょう。そもそも英語スコアは2年以内のものなら有効であるケースが多いので、もっと早めの段階で終わらしておくと気が楽だと思います。

スコアの目安についてです。多くの院試では700後半取れれば十分であるケースが多いです。ただ知能情報学専攻では、噂によると平均900点はあるというのを耳にしますし800点以上はとっておいた方が無難でしょう。700点前半でも受かっている人は見ましたが、その分を筆記試験で補う必要があります。

私の話をします。大学受験の経験がなかったこともあって、英語に抵抗感がありました。TOEFLではなくListening/ Readingで済むTOEIC受験を選んだのはそういう経緯です。院試対策も他科目は3月以降に勉強を始めましたが、TOEICは1月末から始めていました。3回受けたTOEICを時系列順に話します。

(1回目) 2月末、勉強を開始してちょうど1ヶ月での受験です。初めは簡単な単語すらパッと意味が浮かばなかったので金フレではなく銀フレから勉強していました。更にPart5以降の対策として出る1000問という有名な本を購入し並行して勉強していました(分厚かったので途中でやめました)。ある程度銀のフレーズを覚えた段階で金のフレーズの600点の部分までの勉強をし、リスニングはabceedで適当な教材の英語を聞いて雰囲気を掴むことに集中していました。660点 (L340, R320)が取れました。

(2回目) 3月末、金のフレーズは600点までしか勉強していなかったので730点のところまで完璧に覚えることに努めました。単調だと疲れるので金のセンテンスを聞き流しながらセットで勉強しました。リスニングに苦手意識があったのでabceedの音声を寝る前のタイミングで聞いていました。これが効いたのか755点 (L420, R335)が取れました。リスニングは大きく点が上がりましたが、リーディングがほぼ変化がなく低調だったのでPart7の点数を引き上げることを次の目標にしました。

(3回目) 5月末、最後の受験です。4月は申し込み忘れで受けられなかったので結構焦りました。6月まで受けると筆記の勉強に支障が出そうだったので、ここで800を超えるつもりで勉強していました。最終は金のフレーズは730点までは完璧、860点を7割くらい、それ以上は1周ちらっと見たというレベル感です。TOEICは意味がとれなくても文脈から推測できることが多いのでこのくらいでいいと思っていました。 2ヶ月空いたので公式問題集や、精選模試を用いた実践的な学習を始めました。特に精選模試は解説が素晴らしいのと問題が程よく難しい点、本番のような形式を学べる点で非常に良い勉強になりました。課題だったリーディングについて点数を大幅に上げることができ、結果として840点(L430, R410)を取れたので無事終了できました。

まとめると、スコア遷移は660→755→840です。TOEICのおすすめ勉強法は世に溢れているので二番煎じはしませんが、精選模試とabceedは間違いなく効きました、感謝します。

応用情報技術者編 (10月)#

とりあえず応募をしていたのですが、別の課題に追われていたので試験対策は1ミリもしていませんでした。当日の朝、なぜか起床に成功してしまい行くかどうか10分くらい布団の中で葛藤しましたがお金を払っていたので渋々会場に向かいました。午後(応用)はプログラミングが競プロで、他は国語の試験に近いと聞いていたので大丈夫だろうと思っていました。となると乗り越えるべきは午前(基礎)の範囲がやたら広いマーク形式のテストなんですが、計算問題・割と勘で解ける問題を絶対に落とさないことに集中したら何故かボーダーの6割ちょうどを取ることができ受かりました。(え?)

午後の選択科目

  • 情報セキュリティ (必答)
  • プログラミング
  • システムアーキテクチャ
  • 組込みシステム開発
  • システム監査

伝えられることは少ないですが、システムアーキテクチャ、組込みシステムは一度も触れたことがなくても当日は目を通すことをお勧めします。特に後者については小学生でも解けるのでは?というくらいの難易度だったので。(問題文)

インターン編 (10-12月)#

院試が終わってから卒論くらいしかすることがなく暇だったので就業型のインターンに応募しました。受けたのは2つでpaizaというITエンジニア専門の総合求職サイトの作問バイトと、現在お世話になっている丸紅株式会社のDI室という部署のMLエンジニアです。前者に関しては競技プログラミングをそれなりにやっていたので、まあ落ちないだろうと思っていましたが落ちました(悲しい)。 面接の際に若干のミスマッチがあるなと感じましたが、お互いだったようです。

丸紅株式会社についてです。10月末、Atcoder Jobsに掲載されていたのを見て迷わず応募しました。総合商社が具体的にどのようなことをやってあれだけの利益を生み出しているのか知りたいという気持ちもありましたが、プロジェクトの規模が大きい分、技術を取り入れる余地があると思いワクワクしたからです。自分自身、最新技術の研究自体も好きですがその技術をどのように社会に融合させて生活を楽にさせるかというところにより強い関心があるので、募集要項を見て興味に強くマッチしました。

選考は記載の通り、ESの提出と面談複数回です。現在の研究内容のプレゼンとMLに関する知識などを話した気がします。約1ヶ月間やり取りがあり11月末に合格通知が来ました。一旦は3月末までの契約でしたが現在も働いています。基本リモートですが、月に1回ほどのペースで東京本社に出社して進捗報告や方針会議などをしています。取り組んでいるタスクについて詳細は言えませんが、AI技術を用いて業務自動化する部分のコードを書いており、実際に運用もされています。総合商社だけあって待遇面での不満は一切なく、部署自体が少数構成なので担当する範囲も大きく、やりがい面でも満足しています。

番外編#

チェス#

院試のちょうど1ヶ月前に異常にチェスにハマりました、今もちょくちょくやっています。Lichessのログを見ると、院試までの30日間で800試合していたようです(え?)。 後日談ですが、親には外部院試を諦めて自暴自棄になっていると思われていました。 主にチェスの子守歌さんのYoutubeを見ながらOPの勉強をしていました、テンポ感がよくて面白いです。ルセナさんの配信もよく見ています。Dubovというチェスプレイヤーが好きです。

Web開発#

10月頃BaseConnectという京都のWeb系会社のBootCampを受講しました。これはWeb開発の自習教材が送付されて、それに沿って課題をクリアしていけばインターン採用するよというものです。2ヶ月間のプログラムで、主にRailsやReactなどのフレームワークを学びました。時間の余裕があったので1ヶ月間詰めて学習し、大変濃密な時間を過ごせました。 (応用情報技術者の勉強に時間を当てれなかったのはこれが原因です。) その一方で、課題の採点に手が追いついておらず杜撰に感じた点、時給が他IT会社に比べて低めであることもあってインターンへの参加はしていません。

親知らず#

2本抜きました。

ICPC#

ICPCは(International collegiate programming contest)の略で大学対抗のプログラミングコンテストです。まず国内予選があり、アジア地区大会、世界大会と進みます。Googleなどの大企業もスポンサーをしていて伝統的な大会です。 3人チーム制だったので研究室の先輩方と出場しました。国内予選突破を目標に頑張りましたが散りました。戦力的にはいけると思っていたのでかなり悔しかったですが、次の日は内部院試だったので頭を頑張って切り替えました。

その他のコンペ#

Google主催のGCJ(Google Code Jam)、Meta主催のMHC(Meta Hacker Cup)に初めて参加しました。これは個人戦の大会でラウンドが複数あり上位数%に入れば賞品などがもらえます(最上位層はスカウトもあるようです)。GCJではQual→Round 1A → Round 2と進み、ここで1問も解けなくて敗退しました。MHCは予選参加者のうちで上位6%くらいに入ることができ、Tシャツをいただきました。

上のに比べると小規模ですが、PG Battleという3人チーム戦の日本の大会にも出ました。1人は一回生の頃から仲良くしている友達Aちゃん、もう1人は初対面の青コーダーBくんと出場しました。結果は微妙でしたがこれを機にBくんと仲良くなり、Doerというサークルに誘われて入ることになりました。このサークルはハッカソン、Web開発やインターンなどに積極的な人が多く、同志社大学でプログラミングに興味がある人は入ってみると知見が広がると思います。

終わりに#

はい、以上2022年の振り返りです。 色んなことに取り組めた1年だったと思います。 京都大学の知能情報学専攻を目指すきっかけ、丸紅でエンジニアをするきっかけになったのは、競技プログラミング、特にAtcoderのおかげです。感謝しています。また関わってくれた方々にも感謝します。 2023はNLPの研究、ML系のインターン、就職活動など幅広くやっていきたいと思います。良いお年を。