最近読んだ本 ( 2024/9 )
- グリフィスの傷
- 成瀬は天下を取りにいく
- 成瀬は信じた道をいく
- センス・オブ・ワンダー
- 十角館の殺人
- 松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記
- 口に関するアンケート
- Web API: The Good Parts
- 君が手にするはずだった黄金について
グリフィスの傷
いろんな「傷」をテーマにした千早茜さんの短編集、表紙買いした。グリフィスの傷はガラスの表面にある目には見えない無数の傷のこと。この傷ゆえになにかふとした衝撃で急に割れてしまう、その儚さや脆さをヒトに重ねて表現している。表題作と「竜舌蘭」が特に良かった。
成瀬シリーズ
宮島未奈さんの成瀬シリーズを2作読んだ。読後は心の中にリトル成瀬が芽生えた。いやな気分になる要素が一切ないのと、文章も読みやすいので久しぶりの読書にもおすすめ。3作目も執筆中とのことなので期待。
十角館の殺人
記憶を消してもう一度読みたい小説を選べと言われたら、真っ先に頭に浮かぶだろうなと思った ( アニメなら進撃の巨人一択 )。1987年の本なのに全く色褪せない名作。おかげで最近はミステリ小説を読み漁っている。あの一行は進撃の「戦士」に並ぶ衝撃を受けた。
松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記
都知事選にも出てた安野さんの本。安野さんだからこそ掛けるスタートアップのリアリティもありつつ主人公に勢いもあって面白かった。リクディードが某すぎるが大丈夫なんだろうか。
前作のサーキット・スイッチャーを積読リストにpush。
センス・オブ・ワンダー
沈黙の春で有名なレイチェルカーソンさんの未完作品。それを森田真生さん ( 数学する身体, 計算する生命の著者 )が翻訳に加えて書き継いでいる形の本。技術書コーナーの間に意味ありげに挟まっていたので運命を感じて買ってみた。
事実が、やがて知識や知恵を生み出す種子だとしたら、感情や感覚に刻まれた印象は種子を育てる肥沃な土壌です。
好きな一節。まだ小さい子どもに、消化の準備すらできていない情報を次々に与えなくていいという考え方が素敵だなと思った。
Web API: The Good Parts
APIの設計について悩むことがあったので購入した。結果良かった。オライリーにしてはページ数も少なめで読みやすいので雑にWebの知識を入れたい場合にも良さそう。
口に関するアンケート
背筋さん。サイズにびっくり。ページ数も30ページほどで短編集の1話分くらいだけど面白い。
最近どこの本屋に行っても背筋さんのホラー小説がトップに並んでいてすごい。
君が手にするはずだった黄金について
「君のクイズ」で小川哲さんの思考をもっと深掘りたいと思い購入。結論めっちゃ良かった。クリプキの固定指示子の紹介で現実が無数の可能世界の1つでしかないことを言及したのち、私小説風( 主人公は小川哲さん自身 )で現実か虚実か曖昧に描くことで確定記述を超えた何かの存在を作品を通して体現している。
さらに各章では本物と偽物というもう一つの対立関係をテーマに描くことで、多層的な構造になっていて大変面白い。
占い師に対する解釈が面白かった。
( 主人公が占い師の元を訪れた後 ) 僕にも「その瞬間」が訪れたのだ。おそらくそれは、ぼく自身の内側にある迷いが具現化したという錯覚を見ただけなのだが、…
自分の内に秘めている本音を引き出しているに過ぎないというか、背中を押してくれているような。ただそれなら「占い師」という言葉は不適切で、「触媒師」とかの方が適切ではないだろうか。